花束などを贈るとき、あるいはもらったときに、ちょっと気になる花言葉。
花言葉は千差万別で、プラスでポジティブな意味のものから、そうではない意味のものまでいろいろあります。
世界中で咲いている美しい花の一つ一つに、花言葉があるのは驚愕ですが、そもそも誰が決めたのでしょう。
日本ではキノコにまで花言葉があるので驚いてしまいます。
花言葉は誰が決めたのか、その歴史など紹介します。
花言葉とは何か
シンプルな部屋でも、そこに花があると場がパッと華やぎます。
花を見ることは、リラクゼーション効果もあるのだとか。
ストレスも軽減され、気持ちも前向きになれるというから、花が人間にもたらす効果は驚きです。
生き生きとして美しい花を見ていると、いろいろなインスピレーションがわいてくるようです。
世界には20万種とも言われる花があり、その多くに「花言葉」がついています。
花言葉とは、草や樹木も含む植物に意味のある単語をつけたものです。
花言葉、と聞くと花だけについているものかと思ってしまいますが、幅広く植物全体についています。
驚くことには、日本ではキノコにも花言葉がついています。
キノコは菌類になり、正確にはカビのグループに属するものなのですが、しいたけやエリンギも花言葉を有していることにビックリです。
そして意外にも、苔やシダ類にも実は花言葉があるそうです。
さらに、花言葉は奥が深い世界を持っています。
バラにおいては、色や本数で花言葉の意味が違ってくるのです。
ちなみに、一本のバラは「一目惚れ」、12本で「付き合ってください」、108本で「結婚してください」などです。
バラをもらった女性は、本数を数えてみると重要なメッセージがそこに隠れているかもしれません。
余談ですが15本のバラは、「ごめんなさい」という意味があるそうです。
バラの色による花言葉もさまざまです。
赤は「愛情」、白は「清純」、ピンクは「上品」、オレンジは「絆」などと細かく決まっています。
花言葉はいつからあるのか
花言葉が生まれたのは、17世紀、場所はアラビア地方と言われています。
17世紀のトルコでは、セラムという情緒豊かな風習がありました。
このセラムとは、花や果物に自分の気持を託して相手に伝えるというものでした。
言葉や文字に頼ることなく、花や果物に意味をもたせてそれをメッセージとするとは、な
かなかロマンチックな習慣です。
花や果物を送られた人は、また花や果物を送って返事をするという風習でした。
たとえば「愛」「美しい」という意味の花を贈られた人は、「美しいあなたを愛します」
というメッセージを受け取ったことになります。
それに対して、「友情」「尊敬」という意味の花を贈った場合は、「友人とそして尊敬し
ています」といった意味の返事をしたことになります。
この風習のあった17世紀の時代に、ヨーロッパの貴族がトルコに行き、その後また帰国
するのですが、そのときにこのセラムという風習が持ち込まれ、花言葉としてヨーロッパ
に広まったと考えられています。
果物や小物にも気持ちを託したので、セラムは花に限った習わしではないのですが、この
風習がヨーロッパに持ち込まれたときは「花言葉」として広がりました。
花言葉は誰が決めたのか
花に特定の意味をもたせる風習は、セラムから発生したと考えられていますが、「花言葉」として完成させていったのは、ヨーロッパの貴族と考えられます。
花言葉は、ヨーロッパで紹介されると大変流行しました。
特に、19世紀にイギリスやフランスで盛んになりました。
この頃フランスの貴族の間では、草花を擬人化して詩をつくり、花にことよせて恋愛の駆け引きに用いるということが流行しました。
花に例えて愛する人を賛美したり、あるいは批難したりするのに参照された、草花とその意味を書き記した詩作ノートは、多くの貴族の間で回覧されました。
この頃イギリスやフランスでは、花言葉の豪華な本が製作され、フランスではその名も「花言葉」という花言葉辞典が出版されるほど、花言葉は流行しました。
この「花言葉辞典」には、約800種類もの花が紹介されていたと言いますから驚きです。
イギリスでも花言葉は大いに盛んになり、19世紀には「ノーズゲイ」と呼ばれる、花を複数組み合わせて愛する人へ贈る慣習が流行しました。
古来より世界中で花に意味を持たせ、イメージを膨らますことは行われてきましたが、「花言葉」として形になったものを完成させたのは、ヨーロッパの貴族と言えるでしょう。
日本の花の花言葉は誰が決めたのか
ヨーロッパでブームとなった花言葉は世界へ広まり、日本へは明治時代に入ってきました。
日本では、当時輸入されたイギリス系の花言葉がそのまま使われて広まりました。
そのため、現在日本で使われている花言葉はイギリス系のものと言えます。
しかしながら、日本も古来から山川草木の美しさを愛でてきた民族。
ゆかしい想いを伝えるには、雅な和歌を贈り合い気持ちを確かめていました。
平安時代には和歌と一緒に花の枝を一振り添えて、言葉以上のものを伝えることもあったようです。
雅な風習から、日本では平安貴族も花言葉を決めた立役者と言ってもいいかもしれません。
自然豊かな日本では、古来から自然発生的に花言葉が存在したと考えられます。
たとえば、青々とした緑の葉を保ち、樹齢が長くたくましい松は、「不老長寿」の花言葉を持つおめでたい樹木です。
しかし、ヨーロッパでは、松は「同情」という花言葉を持っています。
花言葉は、文化や習慣、自然風土の違いから、さまざまな意味を持っていることがわかります。
各国の花言葉には大きな違いがあるものもあり、花言葉の解釈も実にさまざまです。
花言葉を贈り物などに活用したいときは、相手への心配りを忘れずにするようにしましょう。
新種の花の花言葉は誰が決めたのか
明治時代に花言葉が入ってきてから、その後日本の園芸産業はどんどん発展し、現在では日本独自の花も大変多くなりました。
そうなると、新種の花には、誰が花言葉をつけて決めているのかということが気になります。
新しい花に花言葉を付けているのは、主に園芸業界や花卉業界に関連する団体なようです。
また、開発者自身がその花の花言葉を決める場合もあります。
花の生産者が、一般の人たちから募集して花言葉を決めることもあります。
新品種の花言葉を募集して、見事選ばれた人には、その花の香りの香水をプレゼントする、などの楽しい企画もあるそうです。
生産者や園芸関係者でなくとも、花言葉に関わることができるのは嬉しいですね。